渡邉 真弓
リサーチアソシエイト, 学習・記憶神経回路研究チーム


研究室訪問

ボランティアの博士課程の学生の案内により、システム神経科学の研究室を複数訪問しました。各研究室の訪問時間は30分と限られていましたが、非常に良くオーガナイズされており、直接人と話したり、各研究室の文化を感じたりする良い機会となりました。共用施設やラボ独自の実験セットアップを見学し、彼らの実験内容や技術について学ぶことができました。また、ラボのメンバーとコミュニケーションをとる中で、互いの研究や最近の研究成果についてディスカッションできたのも良かったです。研究室訪問の合間には、神経科学の博士課程の学生たちと昼食を共にし、UCSFとCBSそれぞれの研究生活について気軽なおしゃべりができました。

ポスターセッション

UCSF神経科学リトリートの初日の夜に、ポスターセッションが行われました。このポスターセッションは、発生・システムから病理まで神経科学の幅広いトピックを扱っていました。私は「Prefrontal subregions bidirectionally control fear extinction learning through projections to the locus coeruleus」と題したポスターで、前頭前皮質から脳幹ノルアドレナリン神経系への神経入力を介した情動学習のコントロールについて、解剖学・光遺伝学・ファイバーフォトメトリーの複合アプローチによる研究成果を発表しました。飲み物やスナックも用意され、居心地の良いカジュアルな雰囲気の中、聴衆とディスカッションしたり、さまざまな研究成果に触れたりと楽しい時間を過ごしました。

このプログラムでの経験は、あなたの科学キャリアにどのように役立つでしょうか?

異なる研究環境を自分の目で見ることができ、大いに刺激を受けました。このプログラムの最大の魅力は、3日間のリトリートに参加することで、UCSFの神経科学コミュニティに飛び込むことができたことです。たくさんの人と交流する時間があり、サイエンスだけでなく、日常生活からキャリアの選択肢に関することまで、幅広い話題について話すことができました。他の科学者の生の声を聞くことができる貴重な機会だったと思います。

UCSF神経科学センターと理研CBSの間には、カバーする研究分野の広さ・研究室間のオープンな交流・活発なコラボレーションなど数多くの共通点があった一方、UCSFにおける博士課程の学生の役割はとてもユニークに見えました。彼らはコースワーク期間中に強い絆を築き、研究室に入ってからも良好な友人関係を保っていて、それが研究上の関心事を超えた研究室間の活発なコミュニケーションを維持する鍵となっているようです。また、大学院プログラムの運営においても、学生たちは環境を改善するために欠かせない役割を果たしています。リトリート中には「DEI(Diversity, Equity & Inclusion)セッション」と呼ばれるセッションが開かれ、博士課程学生の多様性(ジェンダー・人種の多様性、留学生の割合など)をいかに高めるかについて話し合われました。彼らの長時間にわたる議論に感銘を受け、自分たちのコミュニティをより良くしていこうという情熱を感じました。

全体として、この交換プログラムを通した経験は、異なる研究コミュニティについて学び、自分自身のキャリアの次のステップについて考えを深める上で大いに役立ったと思います。サポートしてくださった先生方とスタッフの皆様に、心より御礼申し上げます。