春日 優佑
リサーチアソシエイト, 学習・記憶神経回路研究チーム


このプログラムでの経験は今後のキャリアにどう生かされますか?

私がUCSFのリトリートに参加して感じたUCSFのコミュニティの強みは、脳を身体の一部として捉える姿勢を研究者たちが共有しているということです。UCSFのリトリートでは、脳について、分子やシナプスレベルから広域神経回路メカニズムに至るまで幅広く発表されていましたが、同時に他の身体器官と脳のつながりを意識させる様々な内容の発表がありました。これは研究だけでなく臨床を行っているUCSF医療センターとの強い結びつきからきているように思えました。とりわけ疾病治療に際しては、脳を全身の一部として捉えることが必要です。この経験は、今後私自身が、神経科学コミュニティとだけでなく、他の臓器も対象としている一般的な生物医学や生理学のコミュニティとも交流し、神経科学の視野を広げることによって脳疾患の治療研究に役立てたい、と強く意識づけるきかっけとなりました。

次に注目したのは、UCSFの学生たち自身が、多様な人々にとって学び・働きやすいアカデミアの環境に発展させていくことに、積極的に関わろうとする強い姿勢です。UCSFのリトリートでは、学生が主体となり、より良いアカデミア環境を作るために教員と学生との間で興味深い議論がいくつも行われていました。このことは、CBSの博士課程を含む若手研究者と研究室チームリーダの間の、より良い交流のあり方について考えるきっかけになりました。

最後に、UCSFの若手研究者(学生およびポスドク)との交流の中で、UCSFの研究室や彼らが以前働いていたヨーロッパやアメリカの他の研究機関の研究環境について、率直な意見を聞くことができました。このような場で得た情報は、私が次のキャリアを検討する際に重要な材料になると思います。