理研CBSについて
理化学研究所 脳神経科学研究センター(理研CBS)は、「心」の基盤としての「脳」を研究する日本の中核拠点。自然科学に残された最後のフロンティアである脳を理解するべく細胞から個体、社会システムを含む多階層での基礎研究を進め、その成果を社会へ還元します。
-
- われわれ人間を特徴づける脳機能
- ヒト脳高次認知機能解明をめざした研究 人間の脳と心の理解を通じて、ものごとや他人の考えを予測する推察、自分自身を見つめる内省、人との関係を築く社会性など、人間が高度に発達させてきた高次認知機能の解明をめざします。
-
- 生命の普遍性を手掛かりに
- 動物モデルに基づいた階層横断的な研究 分子から個体にわたる脳のネットワークを解明することで、脳が機能する原理や脳と身体との関係の理解をめざします。
-
- ビッグデータの蓄積から活用へ
- 理論・技術が先導するデータ駆動型脳研究 脳の働きをあらゆる面からリアルタイムに計測できる革新的な技術によって蓄積するビッグデータをもとに、より汎用性が高く効率の良いAI開発などへ貢献する新しい理論を提唱します。
-
- 疾患の克服と生活の向上に貢献
- 精神・神経疾患の診断・治療法開発
および日常生活向上のための研究開発 精神・神経疾患などの社会が直面している課題の解決に挑戦し、また社会全体の発展や生活の向上につながるイノベーションへの種を蒔きます。
CBSセンター長メッセージ
私達は、かつて経験したことのない超高齢社会を迎え、様々な問題に直面しております。特に、認知症をはじめとする精神神経疾患は、これからの社会を揺るがすような大きな問題となりつつあります。加えて、新型コロナウイルス感染症拡大のため社会生活が制限され、高齢者だけでなく若年層の心の健康も脅かされるような状況が生じています。これら心の病の克服は、現代社会における喫緊の課題です。脳は人間らしく生きるための「心」の基盤であり、その異常によって心の病が引き起こされます。ヒトの脳は記憶や学習をするとともに、経験を元に意思決定や創造的活動を行いますが、これらの脳活動の動作原理を解明することが「心」の基盤の理解や心の病の克服に必須です。
脳神経科学研究センターは日本の脳科学研究の中核拠点として2018年に設立され、医科学・生物学・化学・工学・情報数理科学・心理学などの学際的かつ融合的学問分野を背景に、遺伝子から細胞、個体、社会システムを含む多階層にわたる脳と心のはたらきの基礎研究と革新的技術開発を進めてまいりました。宮下保司初代センター長以来、現在に至るまで、以下の4本柱の研究に取り組んでおります。
(1) ヒトの脳が担う高次機能の動作原理の解明
(2) 精神・神経疾患の診断・治療法の開発や日常生活の向上につなげる研究
上記の目標達成に向けた
(3) 動物モデルに基づいた階層横断的研究
(4) 理論・技術が先導するデータ駆動型研究
今後も引き続き、これらの研究を強力に推進してまいります。また、国内外の研究機関・大学・大学共同利用機関と手を携え、産業界との連携を育むことにより、国家プロジェクトである「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト(革新脳)」の中核拠点として、さらに脳科学における産・学・官ネットワークのハブとしての役割を果たせるよう邁進いたします。これらの研究・開発を通じて脳機能ネットワークの全容解明や精神神経疾患の克服に向けて、社会の期待に応え、一層貢献していくことを目指してまいります。今後とも本センターへの皆様のご理解とご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。
-
-
理化学研究所
脳神経科学研究センターセンター長 影山 龍一郎