理研CBSについて
理化学研究所 脳神経科学研究センター(理研CBS)は、「こころ」の基盤としての「脳」を研究する日本の中核拠点。自然科学に残された最後のフロンティアである脳を理解するべく細胞から個体、社会システムを含む多階層での基礎研究を進め、その成果を社会へ還元します。

CBSセンター長メッセージ

神経科学は情報処理を行うために高度に発達した器官である脳神経系のはたらきを明らかにする学問です。さらに神経科学は人が人として存在するための核心である、「こころ」の理解も目標にしています。脳の情報処理の原理を解明することは、数理科学・情報科学とも密接に関連し、脳型の人工知能の開発へもつながります。また人の「こころ」の研究は、人の社会性や集団の行動の理解を通じて社会システムの問題解決にも貢献します。脳神経系の疾患においても、その克服には脳神経系の複雑な構造と機能をまず理解し、その上で診断・治療・予防の戦略を立てる必要があります。
脳神経科学研究センターは日本の神経科学の中核拠点として、遺伝子・分子レベルの研究から神経回路の研究、さらに個体の行動に至る多階層の研究を推進しています。本センターは2018年に脳科学総合研究センターを前身として設立され、宮下保司、影山龍一郎の両センター長のリーダーシップの元に発展してきました。複雑な脳のはたらきを解き明かすために、革新的な解析・操作技術の開発、脳の情報処理と「こころ」の関係を追究するための数理科学の推進、認知症をはじめとする精神・神経疾患の病態を再現するモデルの開発などが行われています。医学生物学にとどまらず、物理学・化学・工学・情報数理科学・心理学などの学問分野との融合的な研究により脳神経系の機能の本質を解明し、社会に貢献することが脳神経科学研究センターの使命です。
また本センターは2014年からの10年間、国家プロジェクトである「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト(革新脳)」の中核拠点としての役割を果たしてきました。2023年度からは新たに開始された「脳神経科学統合プログラム」の中核拠点として、更に国内外の関連研究機関・大学・大学共同利用機関とのネットワーク形成や産学連携による医療シーズ開発などを通じて、神経科学の総合的な発展を目指します。
脳神経科学研究センターには、多様な研究者がその能力を発揮しつつ相互に連携し、独自の発想の元に重要な問題に挑戦できる研究環境があります。このようなセンターの特徴を活かしつつ、一方で国内の神経科学研究のネットワークのハブとしての役割を果たすことで、脳神経系の構造と機能の解明、その情報処理メカニズムの理解、さらに脳神経系疾患の克服を目標とした神経科学の進歩に貢献します。
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理化学研究所
脳神経科学研究センターセンター長 岡部 繁男